事業計画

出典: Kigyowiki

私は銀行勤務時代に、多くの事業計画書を目にしてきました。その多くは「再建計画」で、いかに業績を改善して、経営の正常化を図っていくかという内容のものでした。 こういった事業計画書は、「銀行の融資」のために作られます。銀行が納得する事業計画を作れば、無事に融資を獲得することができる(もしくは借入残高を維持できる)というわけです。


この他にも、いろいろな目的で事業計画は作られます。銀行を退職して独立すると、融資以外の目的で作成される事業計画書を多く見るようになってきました。 今回はその事業計画書の作成目的について、簡単にまとめてみたいと思います。

目次

銀行からの融資

冒頭の例に挙げましたが、改めて記載します。事業計画は融資のために作成されるというのが何と言っても一番多いでしょう。事業計画に基づき、借入金を返済する原資があるかどうか、事業計画に合理性があるかどうかを説明します。銀行が納得すれば、晴れて融資実行となります。

補助金申請

通常の収益計画に加えて、会社としての独自性を打ち出さないと補助金獲得には至りません。通常は細部にわたって計画を記載し、書類のボリュームも大きくなります。

ビジネスプランコンテスト参加

賞金つきのコンテストに応募するときは、「いかに魅力的な事業に見せるか」がポイントです。単に計画に合理性があるだけでなく、その中に夢が詰まっているような計画を書くことが要求されます。

出資者への説明資料

他人にお金を出資するのは良いが、出資したお金がどのように活用されるのか、出資者としては気になるところです。そこで、会社としての方向性を予め示すことが必要となることもあります。できるだけ分かりやすい計画書にして、出資者に納得いただけるものに仕上げることが必要です。 出資者と言っても友人・知人ではなく、ベンチャーキャピタルとなると話は違います。事業計画の詳細まで記述しないといけないでしょう。

従業員に対する行動指針

自分の会社がどこへ向かっているのか? 昨日上司が言っていた方針と今日指示されたことが違っていると、従業員が言っていないか? 事業計画は、このような事態を防いでくれることもあります。組織の誰もが一つの方向性を共有しながら仕事をするのは、中長期的な組織作りのためには必要なことでしょう。 現在と未来を結ぶものが、この事業計画です。

自分の頭の整理

主に起業時や、新事業の立ち上げの際に作ります。自分の考えを整理することが重要な目的で、新しいアイデアなどを随時追加していきます。従って、細かい数値は必ずしも必要ではなく、自分が行動しやすい、目指すべき目標をわかりやすく書くことが望ましいでしょう。

経営の羅針盤

当初作成したものをそのままに放置しておかずに、随時過去の考えと現在の状況を照らし合わせる羅針盤のような存在にします。 当初の計画と進んでいる方向が違っていたらどうしますか? 思いっきり急に舵を取ってしまうと、船は転覆しかねません。 そうかと言って、目の前に突然氷山が現れたらどうしますか? このときは船を捨ててボートで脱出しなければならないでしょう。 事業計画書を横に置き、さながら羅針盤のごとく活用することは非常に有益です。

過去の実績の検証

新規事業でない場合は、過去の実績を踏まえて事業計画を作成します。 過去の決算書に現れている数字がどのようにして構成されているか、どこをどのように改善するかを検証します。これは、財務の担当者(不在の場合は社長自身)が自社を見直す良い機会となります。


最近もこんな事例がありました。社長が急逝し、後を継いだ役員が財務内容を全く把握していなかったので(何しろ突然ですから)、決算書の勘定科目を一つずつ、どのように構成されているかを検証しました。そのために総勘定元帳や伝票、契約書を一つずつ見ていき、過去の事業がどのようなものであったかを確認しました。その上で、金融機関から求められていた(将来の)経営改善計画書を提出しました。簡単なようですが、提出までに3か月を要しました。 担当者は、銀行から質問されたことに対して全て即答できるようになり、計画についても信憑性があるとされ、無事に融資を維持することができました。その後、キャッシュフローが劇的に改善して会社の危機を脱しました。


以上、事業計画の様々な目的について紹介しました。 大変手間ひまのかかる事業計画策定です。事業計画書を義務的に作らなくてはならない状況になってしまうことも多いのですが、ぜひ前向きに捉えて活用していただきたいと思います。